カモメ餌付入門

気仙沼のカモメはカルビーのかっぱえびせんが大好きです。いつ頃からかっぱえびせんを食べるようになったのかは不明ですが、とにかくかっぱえびせんを見ただけで本当に目の色を変えるのです。気仙沼のカモメがどれくらいかっぱえびせんを好きなのか証明つつ、餌付方法を【入門編】【上級編】【名人編】とスキル別に紹介してまいります。

気仙沼市内と大島や唐桑を結ぶ定期船があります。市内からはエースポートという船着場から出発するのですが、この定期船が最大の餌付けスポットとなります。気仙沼の人たちにとってはカモメがかっぱえびせんを食べるというのは衆知の事実で、エースポートにはかっぱえびせんがカモメのエサとして売られているのです。(証拠写真)
統計を取った訳ではありませんが、「しそ」や「マヨネーズ」味よりも「ノーマル」なかっぱえびせんを好むようです。カモメのエサとして売られているかっぺびせんもやはり「ノーマル」なものが多いようです。

かもめのエサ (証拠写真)


【入門編】

それではかっぱえびせんを購入したら、実際に餌付けをしてみましょう!
船が離岸するやいなやカモメたちが何百羽もよってきます。彼らは観光客がかっぱえびせんをくれることを知っているのです。船が走り出したら、船尾の一角に陣取りましょう。特に夏場は観光客が多いので、いい場所をキープするのが先決です。場所をキープしたらかっぱえびせんの袋をあけ、まず自分で食べます。食べる姿勢はあくまでカモメに向かって食べてください。これみよがしに食べることによってカモメたちはじらされ、さらに興奮してきます。興奮してくるとカモメたちはこちらの行動を観察してきます。いつかっぱえびせんを投げてくれるのか待っているのです。さらに高等なじらし方としては、かっぱえびせんを投げるふりをして、自分で食べてしまいましょう。フェイントするとカモメたちはそれにつられて動くのがわかるでしょう。ここまでくると彼らの興奮はピークに達します。

船に近づくかもめ 餌付け1

さあ、ここまで準備ができたらかっぱえびせんを投げてください。ここで注意しなければならないのは、投げるかっぱえびせんの数です。一度に投げる数は1つか2つにしておきましょう。特にビギナーの方にみうけられるのですが、一度にたくさんのかっぱえびせんをあげてしまい、終点の大島までエサがもたないのです。大島までは約30分の旅程です。しっかりと配分を考えましょう。なぜそんなに配分をシビアに考えなければならないかというと、この定期航路は常に複数の船が行き交っているので、こちらのエサがなくなってしまうと別の船に乗り換えられてしまうのです。エサの切れ目が縁の切れ目といったところでしょうか。特に危険なのは、大島から気仙沼に向かう船、つまり自分とは逆方向に向かう船と交差するときです。このとき相対的にエサの多い方にカモメたちは流れていくので、このときばかりはせこいことは考えずに、逆方向へ向かう船についたカモメを奪うつもりでエサを奮発しましょう。

余談ですが、万が一エサがなくなった場合、定期便の中にはかっぱえびせんを売っている船がありますので船の中で購入することも可能です。しかし、船中で販売しているのは小さい袋のかっぱえびせんで、観光地価格になっていますのでやはり配分に注意するのが一番でしょう。あまりおすすめしませんが、あらかじめエースポートで2袋購入しておくのも一つの手です。ただ、配分を考えて餌付けをするのも醍醐味ですので、このページを読んだからには1袋でトライするのがいいと思います。


【上級編】

さて、これまで餌付けの入門編をお話ししてきましたが、実はさらに高度な餌付法があります。入門編では投げたかっぱえびせんが海面に落ち、カモメたちは落ちたかっぱえびせんを食べるわけですが、地元上級者は空中でカモメに餌付けできる人がいます。こつさえつかめば誰にでもできますので、【入門編】で基本をマスターした方は是非トライしてみてください。

まずポジショニングですが、【入門編】と同様船尾に立ちます。船尾が混んでいる時はやや側面でも結構です。そこでおもむろにかっぱえびせんを取り出し、腕を船から外に突き出します。オーバーアクションで行ってください。突き出した手を上下に揺らしカモメの注意を引きます。すると、必ずどれか一羽のカモメがこちらに注意を向けます。ターゲットが定まったらそのカモメに意識を集中し、ターゲットのカモメの目を見てください。目をそらしてはいけません。するとターゲットは高度を調整し、間合いを詰めてきます。ここで焦らずカモメと意志の疎通を図ってください。心の中で「いくぞ」と念じます。するとカモメも「承知」と目で訴えてきます。【上級編】の空中餌付けではこのアイコンタクトが最も重要です。下の写真ではカモメの視線がかっぱえびせんに注がれているのがよくわかります。間違いなくその視線はかっぱえびせんへと注がれているのがわかることでしょう。

アイコンタクト 視線拡大

このとき焦ってはいけません。焦ってかっぱえびせんを投げると間合いが不足しているため、えびせんは海に落ちてしまいます。これでは【入門編】でやったことと結果は変わりません。アイコンタクトによってカモメは少しずつ間合いをつめてきます。そのころになるとこちらにも多少の恐怖心が芽生えますが、それに耐え間合いを3メートルまでつめます。間合いが3メートルを切ったら、下から上45度方向に向かって、滑らかな弧を描くようにかっぱえびせんを投げます。すべてがうまく行けば、ターゲットのカモメは見事空中でかっぱえびせんをキャッチすることでしょう。

空中餌付

ただし、カモメも生物である以上個体差があります。どうしても上手なカモメと下手なカモメがいます。ですから完璧な間合いを取ったとしても100%成功するとは限りません。これまでの経験上成功率は約50%といったところでしょうか。この空中餌付をマスターすれば30分の旅程がとても短く感じられることでしょう。是非トライしてみてください。


【名人編】

ここからの内容は誰にでもおすすめできる内容ではありません。なぜなら、かなりの危険が伴うからです。最悪の場合カモメにかじられて指から出血する可能性があります。楽しい観光旅行を血で染めたくない方は絶対まねしないでください。【名人編】の技は究極の方法で直接餌付けするというものです。今回は餌付歴20年の勝倉伸幸・名人にご足労いただき、その技を余すとこなく紹介します。

名人の餌付1 名人の餌付2

まず、ポジショニングはこれまでと違い船の側面に立ちます。もちろん船首方向にはカモメはいませんので船尾側の側面にポジショニングしなければなりません。側面に立つのは、もし船尾でこの直接餌付を行おうとすると、カモメが船の中に飛び込むことになるからです。そんなことになれば危険なので側面に立ちます。

【上級編】と同様にかっぱえびせんを持った腕を突き出し、ターゲットのカモメを探します。アイコンタクトがとれたら間合いをつめるのですが、カモメは船尾から船首方向に向かって間合いをつめてこれるようにします。このような位置関係でないと直接餌付をすることはできません。そして【上級編】と違い間合いが3メートルを切っても投げず、どんどん間合いをつめさせます。そして間合いが0になった、すなわちカモメがかっぱえびせんに食らいついた瞬間に手をはなします。この写真は勝倉伸幸・名人が直接カモメにエサを与えている瞬間です。まさにカモメがかっぱえびせんをくわえた瞬間が写されています。このように見事な直接餌付けはまさに名人といったところでしょう。

決定的瞬間 決定的瞬間拡大

名人にこつを伺ったところ、次の3つがポイントであるとおっしゃっていました。

  1. 技術
  2. 選別する目
  3. 勇気

カモメとの間合いをとる技術はもちろんのころ、自分との呼吸を合わすことができるカモメを選別する目、そしてなにより恐怖心を克服する勇気が大切とのことでした。

<謝辞>

勝倉伸幸・名人には今回の取材にあたり多大なるご協力をいただきまことにありがとうございました。本ホームページをかりて御礼申し上げます。


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